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不動産

不動産は相続対策にも有効!その理由や注意点などを詳しく解説

2023年5月12日 金曜日

消費税をはじめ、さまざまな税金の税率が引き上げられる「増税政策」が加速している昨今。
2015年に最高税率が50%から55%まで引き上げられた「相続税」ですが、昭和62年時点の最高税率が75%と高水準であったことを考えると、今後も徐々に税率が引き上げられていくことが予測されます。

「大切な資産を、少しでも多く配偶者や子供らに遺してあげたい」

この記事では、そんな思いを叶える有効手段として「不動産」を活用した相続対策をご紹介します。

不動産が相続対策に有効な理由

相続税を算出するにあたっては、まず亡くなった人(被相続人)が遺した資産の「相続税評価額」を計算し、課税対象となる遺産の合計額を算出しなければなりません。

この相続税評価額の算出方法は資産の種類によって異なりますが、主な資産の算出方法は以下のとおりです。

・現金(預貯金):死亡日の残高で評価(時価)
・株式:死亡日時点の株価、および一定期間の平均株価から最も低いものを選択して評価
・土地:路線価または固定資産税評価額をもとに評価
・建物:固定資産税評価額をもとに評価

現金や株式の評価は死亡日時点の「時価」が基本となりますが、土地や建物は「路線価」や「固定資産税評価額」を基本として評価されます。

一般的に、路線価は公示価格(≒時価)の80%程度。
固定資産税評価額は公示価格の70%程度、新築物件の場合は建築費の60%程度となることが多くなっています。
そのため、時価がそのまま課税対象額となる現金や株式で相続するのではなく、資産を不動産に組み換えるだけで、20~40%程度も課税対象額を圧縮することができるのです。

加えて、

  • 小規模宅地等の特例:居住用宅地において、330㎡までの部分について80%減額
  • 貸付事業用の小規模宅地等の特例:賃貸用の不動産を相続し、賃貸経営を続けた場合、200㎡までの部分について50%減額
  • 借家権・借地権割合による減額:賃貸用の建物、あるいは貸付用の建物が建っている土地において30%~減額(貸付割合100%の場合)

などの特例を活用することも可能です。

相続税には「累進課税制度」が採用されており、課税対象額に応じて10~55%までの8段階の税率が適用されます。
課税対象額が低くなれば低くなるほど税率も低くなるため、課税対象額を圧縮できれば税率そのものを引き下げられる可能性もあります。

課税対象額の圧縮に加え、低いレンジの税率で相続税を計算できる可能性も高まるため、現金を不動産に組み換えることは相続税の節税対策として大いに効果的なのです。

具体的な例を見てみましょう。

相続対策としての例

たとえば、時価2億円相当の資産を保有している人が亡くなったとしましょう。

この人の資産配分が、

  • 現金(預貯金):2億円

だった場合、【2億円】がそのまま課税対象額となります。

一方、資産配分が、

  • 現金(預貯金):1億円
  • 建物(新築):1億円

だった場合、課税対象額は、

  • 現金(預貯金):1億円
  • 建物(新築):6,000万円(時価の60%)

となるため、課税対象額は【1億6,000万円】にまで圧縮されます。

相続人が子供1人であると仮定すると、実際にかかる相続税は以下のようになります。

■資産配分が「現金(預貯金):2億円」だった場合
(2億円 - 基礎控除:3,600万円)× 税率:40% - 控除額:1,700万円 =【4,860万円】

■資産配分が「現金(預貯金):1億円/建物(新築):1億円」だった場合
(1億6,000万円 - 基礎控除:3,600万円) × 税率:40% - 控除額:1,700万円 =【3,260万円】

※基礎控除以外の控除がないシンプルな計算の場合

資産の一部を現金から不動産(建物)に組み換えるだけで相続税が1,600万円も少なくなり、大幅な節税に成功していることがお分かりいただけるかと思います。

不動産投資でさらに評価額減

所有している不動産を賃貸に出している場合、さらに課税対象額を圧縮することが可能です。

賃貸に出している不動産は賃貸借契約などによって自由度が制限されていることを鑑み、「制約があるぶん、相続税は少なくしてあげるよ」という優遇措置が設けられているためです。

賃貸に出している不動産の評価額を算出するには、以下の3点がポイントとなります。

  • 借家権割合
  • 借地権割合
  • 賃貸割合

借家権割合

「借家権割合」とは、アパートなどの賃貸物件の相続税を算出する際に利用される割合のことで、全国一律で30%と定められています。

アパートの入居者などがその建物を借りる権利を指す「借家権」とは異なります。

借地権割合

「借地権割合」とは、土地を借りている人が、その土地の所有権をどれだけ有しているかを示す割合のことです。

借地を相続する際の計算にも利用されます。

借地権割合は地域によって異なり、国税庁によってA(90%)~G(30%)までの7段階評価(10%刻み)で定められており、路線価図で調べることができます。

主要駅周辺や繁華街といった「土地の利用価値が高い地域」ほど借地権割合が高く、銀座や東京駅周辺などの超一等地は90%、ある程度都会に近い市街地や商業地などは60~70%程度に設定されていることが一般的です。

需要の低い郊外や地方には借地権割合が定められていない地域もあり、借地権の評価がなされないケースも存在します。

賃貸割合

「賃貸割合」とは、所有する物件全体の床面積のうち、賃貸に出されている部分の床面積の割合を示す数値のことです。

賃貸に出されている「戸数」ではなく「面積」で算出される点にご注意ください。

基本的に、相続時に空室である部分の面積は「賃貸に出されていない」と判断されますが、

  • これまで継続的に入居者が入っていたこと
  • 賃借人の退去後すぐに新たな賃借人を募集し、空室期間中に別の用途で使用していない
  • 目安として、空室となったのが相続開始前後1ヶ月程度であること

などの条件を満たせば「一時的な空室」であると判断され、相続時に空室であったとしても「賃貸中」とみなされることもあります。

※一戸建てやマンションの区分所有などの場合は除く

これら3つの要素をもとに、賃貸に出されている不動産の評価額は以下のように算出されます。

■賃貸に出されている建物の場合
建物評価額 = 建物の固定資産税評価額 ×(1 - 借家権割合 × 賃貸割合)

■賃貸に出されている建物を有する土地の場合
貸家建付地評価額 =自用地としての価額 ×(1 -借地権割合 × 借家権割合 × 賃貸割合)

このように、同じ不動産でも、自宅用として所有しておくのではなく賃貸に出すことで、さらに30%~の圧縮が可能(貸付割合100%の場合)であるため、不動産投資はより有効な相続対策であると言えます。

先程例示した『資産配分が「現金(預貯金):1億円/建物(新築):1億円」』のケースで考えてみましょう。

現金を建物に組み替えただけでも課税対象額は2億円から1億6,000万円に圧縮することができましたが、この建物を賃貸に出し、相続時に空室がなかったとすると、建物評価額は以下のようになります。

建物の固定資産税評価額:6,000万円 ×(1 - 借地権割合:30% × 賃貸割合:100%)= 4,200万円

よって課税対象額は1億4,200万円となり、相続税(※)は2,540万円となります。

賃貸に出していない場合の相続税は3,260万円だったので、不動産投資を始めることで、さらに720万円もの節税ができるというわけです。
※:相続人を子供1人と仮定した場合

不動産を相続対策に活用する際の注意点

このように、相続対策として極めて有効な不動産所有ですが、とはいえ深く考えないまま不動産に手をだすことは厳禁です。

不動産は流動性が低いため、いざ手放そうとなった際に思うように売れない可能性が考えられます。

また、経年劣化によって資産価値が低下していくため、定期的なメンテナンスやリフォームなどで資産価値を維持する費用や労力が求められます。

賃貸に出す場合には、空室リスクや滞納リスク、災害リスクといったリスクを負うことにもなります。

相続対策として不動産を購入するのであれば、こうした注意点も踏まえたうえで「利益になる」と考えられる不動産を選ぶようにしましょう。